看護師の仕事と家庭の両立|心得5つと両立のコツを歴20年が徹底解説

看護師が家庭と仕事を両立させるコツ
  • 交替勤務で疲れちゃって家のことまで手が回らない……
  • 看護師の仕事と家庭の両立なんて全然できてないよ!

看護師の仕事は忙しくて不規則なことが多く、家庭とのバランスを取ることなど簡単ではありません。

実際に両立に悩むナースは多いんです。

今回は、看護師の仕事と家庭を両立させるために必要な心得とコツを、私の20年以上の経験を交えてお伝えします。

経験談を聴くことで、現状、ナースと家庭の両立が難しいと考えるあなたの家庭運営のヒントになるでしょう。

目次

看護師の仕事と家庭の両立、現状は?

看護師は家庭と仕事の両立が難しい職種です。患者さんに何かあってはいけないため仕事中は手を抜けませんし、緊張感が高く体力消耗も激しい。両立が難しいため、看護の現場から離れていく人もいるんです。

看護師の退職理由

厚生労働省の調査によると、看護師の主な退職理由は次の通り。

1位…出産・育児のため22.1%

2位……結婚のため17.7%                       合計38.8%

結婚や出産・育児は家庭運営に必要なライフイベント。

ですから、約4割の看護師が仕事を続けながら家庭と両立させるのは難しいと考え、退職したといえます。

私が独身時代に勤務していた病院は大学病院で外科系病棟で、メンバーのほとんどは20代。

私を含めて大半の看護師が結婚と同時に退職していました。既婚者は50代の師長さんのみ。

救急をほとんど断らない三次救急病院で、緊急入院は当たり前。

準夜帯で帰室したオペ患が急変することも多々あり……

大学病院の忙しさで家庭と両立はとても無理、と思ったのです。

仕事と家庭の両立はできているのか

「家庭と仕事を両立できている!」って実感できているナースは少ないですね。

私が一緒に働いていたママナースたちの声を掲載します。

仕事が終わって子どもを保育園に迎えにいき、家に帰ると19時過ぎ。帰宅後座らずに家事をし、夕飯を食べるのは20時。子どもを寝かしつけるのはどんなに頑張っても22時過ぎちゃう。仕事のしわ寄せで子どもに毎日夜更かしさせて、いいのかなって思う

小学1年生の子どもが一人いるんだけど、一人でもやっぱり手はかかる。仕事後に迎えに行ってご飯を食べさせるので精一杯。掃除なんか週一ですればいいほう、床に物が散らかってる

フルタイムで勤務していると時は完璧に両立できてるって時間はできないなあ

フルタイムで勤務していると時は完璧に両立できてるって実感はできないなあ

とにかく食べることは何とかしなくてはと思いましたが、他の家事まではなかなか手が回りませんでした。

病院は冬に忙しいので、忙しい時期に家が荒れていくんですよ……

看護職員就業状況等実態調査結果によると、看護師として仕事をしている人の65.6%が既婚であり、子どもがいるのは63.7%です。看護師は仕事と家庭の両立を望んでいるのですが、その難しさから離職していくケースが多いのです。

両立したくてもできないのが現実なんですね。

仕事と家庭を両立させるための心得・考え方

1.家庭優先であると心得る

仕事と家庭、どっちが大事なの?ときかれたら、断然家庭である、というのは忘れずにいましょう。

家族の健康はととのった家庭運営から始まりますし、健やかな子どもの成長も健やかな家庭からしかうまれないのです。

家庭優先をうっかり忘れて仕事に夢中になると、家族にしわ寄せが来ます。

  • 休みが合わず、家族みんなで休日を過ごせない
  • ママはいつも休みの日に寝ている……
  • 疲労がたまり、家族と会話する気力もない

これでは、何のために働いているのかわかりませんよね。

休日は「体を休めるのことと溜まった家事で終わらせるため」にあるのではない。

家族との時間を楽しめる余裕が欲しいものです。

2.夫の協力は不可欠

家庭と仕事を両立させようと思ったら、家族の協力は不可欠です。

パートナーは、家事や育児を自分のこととしてとらえているでしょうか。以下のような夫もいると聞きます。

  • 子どもの保育園送迎や行事は一切いかない
  • 子どもが発熱しても病気看護にはノータッチ
  • ゴミ出しはしない

ちょっと、協力的とは言えませんね。

家庭運営は夫婦でするものであり、夫の協力は不可欠です。

十分に話し合い、協力してもらいましょう。

もちろん、夫の仕事の都合上、協力したい気持ちはあってもできないケースもあるかもしれません。そんなときは、労ってもらうだけでも助けになることは、伝えてきましょうね。

職場の忙しさと自分の生活は切り離す

職場が忙しいからと言って無理に勤務時間を延ばすような契約をしないこと。

人手不足は組織が解決すべき問題であって、個々の看護職員が背負う問題ではありません。

人がいないのよ、早く常勤になって

急性期総合病院の外来でフルタイムパートをしていた時に、私が当時の師長から言われた言葉です。常勤が少なく、夜勤や日曜日勤ができる人数は少なく、勤務表が回せないことも知っていました。

当時、仕事と家庭の両立が難しくて、手が回らないからパートという働きかたを選択していたのです。

どうして何度も「常勤になれ」って言われなくちゃいけないのかなって思っていました。

大変そうだから力になろうか……などと考えると、自分の家庭にしわ寄せが来ます。

もっと働いてといわれても、家庭の状況的に無理であれば、軽く聞き流しておきましょう。

師長は気の毒ですが「職場の忙しさ」と「看護職員と雇用主の契約」は別問題なんです。

もちろん、自分が望んで勤務時間を延ばす場合は別。できないのに職場の忙しさが気の毒だからと責任を難じて無理はしないことです。

健康第一・無理はしないこと

看護師は責任感の強さからか、無理をする人が多いように感じます。

仕事で疲れ切っているなら、家事まで全力ですることはないんです。

体力も気力も限界があります。子育て世代は年代も若いため、無理ができる気がしちゃいますよね。

無理をした結果、体調を崩して入院になった……という同僚もいましたし、家庭と仕事の両立のプレッシャーがストレスとなり、眠れなくなった友人もいます。

私たち看護師は人の健康に気づかう職業なのに、自分の健康に心を砕けないのっておかしい。

自分や家族の健康こそ、一番大事にすべきものです。

使える制度は利用する

子育てと仕事の両立には、多様な支援制度がありますので、使える制度は利用しましょう。

経済的な理由で出産後も常勤で働きたい。夜勤免除や時短勤務制度を申請しようとしたら、師長に嫌な顔をされた

って話は、友人からも聞きます。

夜勤免除や時短勤務は育児介護休業法で、すべての労働者に認められている権利です

職場の人手不足を理由に利用を拒否するなんてNGなんですよ

ほかにも、未就学児の子の病気による欠勤は「子の看護」として休暇が認められるなどの制度があります。

自分が使える制度について把握し、利用できる制度は利用しましょう。

もちろん、使える制度は勤務先の就業規則にもよります。

政府も看護協会もワーママが家庭と仕事を両立できるよう、さまざまな取り組みを実施しているんです。

看護師には仕事をやめずに続けてほしいからですよね。

仕事と家庭・両立のコツ

退勤後の家事スケジュールを考えるママナース

仕事と家庭の両立ができない問題の解決策は、家庭というチームでできることは分担すること。何よりも無理をしないことなんです。仕事と家庭のバランスをとるために必要な解決策について説明します。

家族と役割分担を話し合う

パートナーがいる方は、共働きがスタートする前に、家事分担を話し合った方がよいでしょう。

話し合うタイミングとしては以下の通り

  • 一番いいのは結婚するまえ
  • 子どもを設ける前
  • 妊娠中
  • 育休明け前

共働き開始前に「できる方ができることをやる」といって、多くの夫が家事をしない家庭の話をよく聞きます。

家事、育児には細かな手順とやるべきことがありますね。

家事についてはすべて書きだし、役割をチェックしましょう。子どもがお手伝いをできる年齢なら、子どもにも役割を与えましょう。

なお、2010年に行われた厚生労働省の調査によると、

女性が男性に求める結婚相手の条件は1位が人柄ですが、2位は家事・育児の能力です。

父親がどれだけ家事育児に協力できるかが家庭と仕事の両立のキーポイントになることは、ワーママなら皆、知っていることなんですね。

家事ができなくてもお互いを攻めない

家事は仕事や育児で疲れて手が回らないからできないのです。

できないことを責めてもお互いによいことはないので、やめましょう。

看護師の妻が家事をしない、もっと家事をやれと言って攻める夫がいます。

一方で、家事育児に参加しない夫を「男は仕事だけやっていればいいからいいわよね」と言って攻めるママナースもいます。

いっても家庭がギスギスするだけですし、ギスギスした状態を子供に見せたいでしょうか。

大事なのは家庭のことにお互いが当事者意識を持つことです

俺には家事なんて関係ないっていう態度が一番ダメ……

家庭運営の意識づけは、夫婦が子ども時代を過ごした家庭の考え方にもよるので、なかなか変わりません。

私も、義母に「女は家にいて家を守ればよい」という考えがあるため、保育園になずけるなといわれ、子どもの幼少期は苦労しました。夫もその考えの影響を受けていますからね。

家事ができなことがあっても、夫婦お互いに攻める姿勢は持たないようにしましょう。

家事は計画的にこなす

仕事中は拘束されて家のことはできないので、家事は時間配分を考えて計画的にこなす必要があります。

使える時間には限りがあるのですから、限られた時間をどのように使うのか、スケジュールを組んだほうがよいのです。

日勤後に「夕方子供を保育園に迎えに行って」「買い物をして」「夕飯を作って」いたら夕飯が20時過ぎてしまう…と話す同僚がいたですが……

買い物と夕飯づくりは別の日にした方が楽なのにって思うのです。

私は休日におかず作り置きをして、仕事から帰った後はおかずを温めるだけにしていました。

体力がなくて、夕方キッチンに立つ力が残っていないから、というのもあったのですが。

当時勤めていた外来ママナースは、作り置き派は1割くらい。

思ったよりも少ないんだね。

夕飯が早く済めば片付けやその後の入浴も早く済みますし、就寝時間も遅れることなく、生活のリズムも整います。

家事を計画的にこなせば、健康的な生活も送れるんですよ。

家事の時短にはお金をかけてもOK

まもなく育休が明けて共働きが始まる。ブランクがあったけど子育てと並行して仕事に復帰する、ってママナースにおすすめします。

家事を時短できる家電などをそろえ、時には家事サービスを利用すること

私が時短を実践できて揃えてよかったものは以下のものです。

  • 食洗器
  • 洗濯乾燥機
  • ロボット掃除機
  • 電気圧力鍋
  • 作り置き用の容器

家事に時間をかけられないのですから機械に頼っていい。家事家電は、働く女性の味方です。一気にそろえたわけではないのですが、もっと早く買っておけばよかったと思うものばかりでした。

私はいずれの家電もフル稼働させています。

もったいないと思わず「時間をお金で買った」と思って先行投資しましょう。

家庭と仕事の両立が難しいなら働きかたを見直そう

子育てしながら仕事なんて無理だ、家事までとてもじゃないけど手は回らない。と思ったら今の働きかたを見直してみましょう。無理して体を壊したら元も子もありません。今の職場で時短制度や部署移動ができないかをきくのも手ですし、厳しければ別の職場をリサーチしてもいいですね。

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この記事を書いた人

看護師歴20年以上、女の子のママ。
転居や子どもの預け先がない時など転職歴あり。
(大学病院小児外科・外科病院・急性期総合病院外来・保育園など)
自分が子育てと看護師の両立には苦労した経験から
よりよいナースママライフの知恵を提案します。

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