保育園看護師の仕事内容は？｜待遇・必要なスキルを元保育園ナースが徹底解説！

保育園看護師に興味があるあなたは、次のように悩んでいませんか？

保育園看護師は看護資格を活かして園児の健康をサポートする仕事。必要な資格は、看護資格のみで、他に子ども系の資格を取る必要はありません。

今回は、保育園看護師が園内でどのような仕事をするのか、役割や待遇面・必要な経験などを解説。

この記事を読めば「保育園看護師に興味があるけど応募への一歩が踏み出せない」と感じているあなたが、疑問を解消して転職への一歩を踏み出せるようになりますよ。

保育園看護師が必要な理由や配置基準

保育園看護師が生まれた理由

保育園看護師は、1956年に東京都三鷹市の保育所への保健師の配属が保育園看護師の始まり。

保育園は健康な園児を預かる場所で、0歳児から5歳児までと幅広い年齢層がいます。昼寝中の健康観察が必要で、園児の急病・怪我にも対応する必要があります。

2008年には、保育所保育指針の改定に「保健・衛生面の対応明確化、看護師等人員確保の推進」が示され、徐々に「保育園に看護師を配置しよう」という動きが活発になったのです。

少子化・核家族化が進んだ上に共働き家庭が増え、保育に加えて子どもの健康管理へのニーズが増えている。

保育園看護には歴史や現代のニーズがあって、必要性がうたわれているため、将来的に仕事がなくなることはないのです。

保育園看護師の配置基準

保育園における看護師の配置には法律上の義務はないのです。看護師のいない保育園もあり、違法ではないけれど、配置は推進されているのが実情。基準には以下のように記されています。

• 保育所には保育士・嘱託医・調理員を置かなければならない
• 乳児4人以上を入所させる保育所では看護師等を一人、保育士とみなすことができる

引用元：児童福祉施設の設置及び運営に関する基準

「保育所には保育士・嘱託医・調理員を置かなければならない」

実際、保育園に看護師を配置するかどうかは自治体によっても異なります。東京都や横浜市などでは各園に一人の看護師配置を推進している事業所が多いようです。

保育所での看護師の配置は、厚労省の通達では推進「配置は努力義務」となっており、さらに細かい基準は自治体によって異なります。

また、保育時間中の職員が園児に対応する対応人数は法律で基準が決まっているのです。

0歳児の保育士をカウントするとき、看護師を保育士の人数にカウントしてもよいという決まりがあります。保育士の人手不足で勤務が回らない時などに看護師が保育に組み込まれるのです。

保育園看護師の役割や仕事内容

保育園看護師とは職員や園児の健康を預かるのが役割。園内の業務は、意外と書類関係など事務仕事が多いのです。

保育園看護師の役割

保育園看護師には、保育園であずかる園児の健康管理・園で働く職員の健康管理などの役割があります。

保育士さんは小児の疾患・ケガの対応などに詳しくないことも多いのです。

また、近年食物アレルギーを持つ園児への対応が必要となるため、専門的な知識を持った看護師の対応が求められています

保育園看護師の仕事内容

保育園看護師の仕事内容は以下の通り。じっさいに働いてきたからこそわかる、細かい業務も紹介します。

行う時期	保育園看護師のやること
毎日行うもの	園児の健康観察・保健日誌の記載・職員の健康管理・園内の衛生環境の確認 子どもの急病やケガの対応・受診時のつきそい・地域の感染症流行情報の把握
毎月行うもの	身体計測実施や記録・保健だよりの発行
季節で行うもの	入園児面談（既往歴のある園児）　季節に応じた保健教育（園児・職員・保護者） 園内健診の手配・実施・記録　　健診で受診が必要になった園児の保護者連絡 他園の保育園看護師との連絡会議出席　水遊びプールの消毒準備・水質管理　 監査前の書類チェック
不定期で行うもの	保健衛生物品の請求・購入　保健物品の使用期限確認 　園内で感染症が発生した時の掲示物作成・注意喚起

保育中の受診について最終判断するのは園長ですが、看護師に意見を求められることはよくあります。

「首から上のけがはすべて受診」と決まっている園もあり、なんのケガでどの医療機関に行くのかを判断するのは看護師の役割です。

保育園看護業務・一日の流れ

保育園看護師の給与など待遇面など病院看護師はどうちがうの？

保育園看護師と病院看護師の比較表

職場の種類	平均年収（万）	給与の出どころ	仕事上の対象者	残業の有無
私立保育園	4081,704	企業の運営費自治体からの補助金	健康な園児・職員健康な職員	ほぼなし
公立保育園	4763,172	税金・保育料	健康な園児・職員ときに医療的ケア児	ほぼなし
病院看護師	4918,300	保険点数・自治体からの補助金	疾病を抱える患者	あり病棟次第だが1～3時間

データ参考：令和元年幼稚園・保育所・認定こども園の経営実態調査職員別一人当たりの給与状況、厚生労働省令和4年賃金構造基本統計調査

上記保育園の年収調査は、すでに勤務している保育園看護師634人を対象にしたもので、平均勤続年数は約12年。新入職保育園看護師の年収ではないため、経験を重ねて昇給した分も上乗せされています。

なお、比較のため公立保育園の年収も出していますが、

転職してきた中途採用看護師が、公立保育園の正職員になるのはほぼ不可能。

公立保育園の保育園看護になるのは、公立こども医療センターなどから移動してきた看護師だそう。
つまり、もともと公務員だった看護師が移動してきているのです。

途中から公立には入れないんですよね。私が公立保育園の職員から聞いた話です。

保育園看護師の給与は病院看護師より低い

保育園看護師の給料が病院看護師の給料よりも低いのには理由があります。

1. お金の出どころが企業資金であり、予算の上限がある
2. 保育士の給与と比較すると看護師の給与は高いため、大きな差をつけられない。

病院看護師として就職する場合、経験年数を加算してもらえますが、保育園看護師の初任給は会社次第。経験してもらえないケースもあるんですよ。

実際私が保育園看護師を探して転職活動をしているときに、運営する企業の社員から言われたことは……。

一方で、知人の保育園看護師の年収は500万円以上だそうです。きっと経験が加算されているのでしょう。加算してくれるかどうかは、本当に会社次第だなと思っています。

保育園看護師になるには？必要な資格とスキル

保育園看護師に必要な資格

看護師のみでOKです。保育士やチャイルドケアスペシャリストなど、子ども向けの資格を新たにとる必要はありません。

資格ではありませんが、入職時の契約内容に「看護師に0歳児の担任をしてもらう」とあったときは、入職前に保育の研修を受ける必要があります。

「正看護師か准看護師か」でいうと、正看護師募集といった求人が多いのです。実際に私が保育園看護師を探していた時も「正看護師のみ募集」という求人しか見かけませんでした。

しかし、2020年のコロナ禍以降、元来の看護師不足が加速し、医療・福祉・企業などいずれの業界でも看護師不足。

保育園看護師の確保が難しいことから、准看護師を積極的に採用する自治体の求人も増えてきています。

看護師の臨床経験はあった方が役にたちます。「経験なしの新卒ナースも応募可能」としている保育園看護師の求人は、看護師としてではなく、完全に保育士としてあてにされるとみていいでしょう。

保育園看護師に必要な知識とスキル

寝かしつけ・授乳・読み聞かせなど子育てに関する知識やスキル

子どもに多いけがや病気などの知識や対処法・応急処置などのスキル

保育園看護師には、小児科経験もしくは育児経験があることがベスト。小児科経験なしでもOKの求人は見かけますが、小児系の知識がなにも知識がないと、正直働くのは厳しい。

実際私が応募した時も、小児外科経験・子育て経験や大変喜ばれました。

保育園は子どもの生活の場です。子どもの生活に関する世話全般をするのですから、年齢ごとの発達段階を頭に入れ、年齢に応じた関わりをする必要があります。

たとえば、3歳を過ぎた子どもの更衣をすべて援助するのはNG。自分でできることは自分でしようね、と発達を促す関りだって必要なんです。

子どもは年齢によって多いけが・急病などがあります。

応急処置などの方法が頭に入っていないと、園の職員から「看護師なのに役にたたないな・使えないな」と思われるりすくがあります。

保育園看護師のメリット・やりがい

園児が可愛い

毎日接するのが可愛いらしい園児たちなので、子どもたちとのやり取りに看護師自身が癒されます。

保育園看護師は、他の保育士と同じように○○先生と呼ばれるのですが、「○○先生～！」と甘えてくる園児たちに囲まれると本当に幸せです。

ケガや病気の時に頼って来てくれる時によし、役にたとう！　と心から思えるんです。

子どもの存在自体が自分のパワーになります。

急変がほとんど無い

職場で急変がほとんどないのは大きなメリットです。

今まで医療機関で働いてきた看護師は「疾病を抱えた患者さん」がお世話をする対象者で、いつ急変するかわからない緊張感がありました。一つのミスが大きな事故になりかねない。

しかし、園児たちはほぼ全員が健康。健康な対象者をお世話するのは、病院とは違う気持ちがあります。

健康な対象者を見て初めて、病院勤務で今までいかに気持ちが張りつめて働いていたのかがわかります。

ワークライフバランスがとりやすい

保育園勤務の看護師はほとんどカレンダー通りの勤務で、交替勤務もなく、残業もほとんどありません。

病院の時には日勤常勤でも早出があったり、診療が終わらなければ残業は当たり前でした。

保育園ではほぼ定時で帰れるんです。

労働時間が固定している為家庭とのバランスもとりやすい。業務内容も保育にどれくらい入るかにもよりますが体力的負担は少なく、酷い疲れもたまりにくい。

病院時代のように「忙しすぎて昼休憩が3時になった・休憩が15分しかなかった」などといったこともありません。

保育園看護師のデメリット・悩み

病院看護師に比べて給料が安い

病院と比べて保育園自体の給与水準自体が低いこと、残業がないこともあわせて給与は低くなります。

勤務年数を経ていけば徐々に昇給もあるかと思います。

でも、はじめて保育園看護師の給料をもらうと「病院の時よりも給料がやすくなったな～」と感じます。

会社によっては総支給額の中にみなし残業代も含めているところもあり「20時間までは残業代を前もって払っている状態の給料です」といわれることも。

看護師は園に一人の体制なので孤独

保育園看護師はほとんどの保育園で一人体制です。

まれに、二人体制の園もありますが、保育士要因として雇用されているか、医療的ケア時の担当となっているかどちらかです。

一人だと困ったときに相談できる相手はいませんし、医学的・看護的な知識や判断は自分にのしかかります。「わかりません」では許されない重圧感があるのです。

また、職種が違えば価値観が違うもの。保育士さんたちと、看護師とはわかり合えない場面があったときに「孤独だなあ」と感じるのです。

看護の仕事よりも保育が優先されることもある

看護師として雇用されているのですから「保育園では保健業務を優先的にさせてくれるはず」と思うかもしれませんが、実際は違います。

「4時から人が足りなくなるから保育に入って」

「〇日は人がいないから一日0歳児の保育に入って」

といわれることもよくある。

結果として保険業務が後回しになるか、まれに残業して日誌を書くこともあるのです。

保育園看護師の上司である園長は保育士であり、やっぱり看護よりも保育が優先される場面は多くなります。

保育園看護師に向いている人はどんな人？

子どもが好きな人　

子どもが好き、は保育園で働く看護師の条件です。

保育園を運営する社員から面接時に言われました。「保育園で働くには、子どもが好きであることは絶対条件なんだ」と。

子どもは敏感ですから、相手が子ども好きかどうかは瞬時に判断します。

「子どもになつかれない保育園看護師」にいてもらっても、保育園側も困るでしょう。保育もケガの対応などもスムーズにできませんしね。

小児科経験や子育てのスキルがある人

園児のお世話をするのに、発達段階に応じた子育て知識やスキルは必須です。

いずれもママナースであれば難なくこなせますが、子どもとまったくかかわったことがない看護師には、技術的に厳しい内容です。小児科経験はゼロでも、子育て経験があれば保育園看護師にはプラスの経験。

ママナースは歓迎されるでしょう。

ママナースにすすめの働きかたはこちらの記事をチェック！

園内の保育状況に応じて柔軟に働ける人　

保育園内では保育が優先される。看護の仕事は後でも仕方ないと割り切れる人こそ、保育園看護師にむいていますね。

なぜなら「看護師は保育士としてカウントできる」とした決まりがある時点で

看護師は保育の人手としてあてにされているから。

園内はシフト制であり、時間帯によっては「どうしても保育士が足りないから、保育に入って」といわれることもあります。

「看護でも保育でも、どっちもやります」といえて柔軟に働ける人こそ、保育園看護師にむいているといえるでしょう。

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保育園看護師は非公開で募集していることが多いのです。以前園長に言われたのですが、看護師を募集していることが保護者にバレると、園内がざわつくから。保護者はじめ関係者にバレないよう、保育園看護師はひっそりと募集したいみたいですよ。非公開の保育園看護師求人を探すなら、正社員でもパートでも、以下のサイトがオススメです。

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